Koiter流れ則の概要説明

関連流れ則とKoiterの流れ則

関連流れ則

関口・太田モデルの降伏面は、下図に示すとおり弾丸型の降伏面となる。一次元圧密の降伏面上、すなわち正規圧密状態のK0ライン上での応力点は特異点であり、特異点上ではひずみが定まりません。

また、塑性ひずみの発生は降伏面に直交して発生しますが、K0ラインを境に圧縮側の上側降伏面と伸張側の下側降伏面ではひずみの発生方向が急激に変化するため、ひずみの発生が滑らかになりません。

このような場合には、降伏面の尖った部分に丸みを持たせるなどの処理を行うことで特異点の問題を解消することが可能です。

降伏関数

降伏関数

関連流れ則

関連流れ則
p~q関係図(関連流れ則)

p~q関係図

Koiterの流れ則

降伏関数を圧縮側と伸張側に分割し、Koiterの流れ則を用いて塑性ひずみを算出します。

K0ライン付近にKoiterの流れ則を導入することで塑性ひずみの発生に滑らかさを持たせます。

降伏関数

降伏関数(Koiterの流れ則)
降伏関数(Koiterの流れ則)

Koiterの流れ則

降伏関数(Koiterの流れ則)

Koiterの流れ則を用いた解析例

以下の解析断面の条件において、従来法とKoiterの流れ則を適用したケースでの比較検討を行いました。

解析条件

解析条件図

物性条件については限界状態指数を変更した次の3パターンとしています。

  • 強度小(Case-1a)
  • 強度中(Case-1b)
  • 強度大(Case-1c)

解析結果

粘性土上面の鉛直変位分布図(載荷完了時)

粘性土上面の鉛直変位分布図(載荷完了時)

粘性土上面の鉛直変位分布図(圧密完了時)

粘性土上面の鉛直変位分布図(圧密完了時)

盛土法尻位置の水平変位分布図(盛土載荷直後)

盛土法尻位置の水平変位分布図(盛土載荷直後)

盛土法尻位置の水平変位分布図(圧密完了時)

盛土法尻位置の水平変位分布図(圧密完了時)

関口・太田モデルと修正カムクレイモデル

等体積非排水せん断試験のシミュレート

等方圧密された粘土の応力経路を以下に示します。修正カムクレイモデルでは初期のせん断に対してはσm'軸に対して直交するような形で上側に伸びます。限界状態に到ると応力は増加せず、ひずみだけが進行する完全塑性体となります。

等体積非排水せん断試験のp - q曲線(等方圧密)

等体積非排水せん断試験のp - q曲線(等方圧密)

カムクレイモデルと修正カムクレイモデルの応力経路の違いは、せん断初期の挙動です。カムクレイモデルの場合には、せん断初期から過剰間隙水圧が発生しますが、修正カムクレイモデルではせん断初期には発生せず、途中からどんどん発生します。

等体積非排水せん断試験のεa - q曲線(等方圧密)

等体積非排水せん断試験のεa - q曲線(等方圧密)

状態曲面の例

下図にp - q - eを3次元空間に投影した状態曲面の例を示します。

カムクレイモデルでの状態曲面例

カムクレイモデルでの状態曲面例

修正カムクレイモデルでの状態曲面例

修正カムクレイモデルでの状態曲面例

修正カムクレイモデルを用いた解析例

前記Koiterの流れ則を用いた解析例と同じ条件において、力学モデルを修正カムクレイモデルに変更した場合の解析例を以下に示します。

計算結果

粘性土上面の鉛直変位分布図(載荷完了時)

粘性土上面の鉛直変位分布図(載荷完了時)

粘性土上面の鉛直変位分布図(圧密完了時)

粘性土上面の鉛直変位分布図(圧密完了時)

盛土法尻位置の水平変位分布図(盛土載荷直後)

盛土法尻位置の水平変位分布図(盛土載荷直後)

盛土法尻位置の水平変位分布図(圧密完了時)

盛土法尻位置の水平変位分布図(圧密完了時)