マクロエレメント

概要

マクロエレメント法は、平面ひずみ条件でドレーンの圧密計算を行うための方法です。平面ひずみ条件でドレーンの計算を行う場合、換算透水係数を用いる方法があります。これは、バロンのt50とテルツァギーのt50が一致するように透水係数を換算する方法です。この方法は、層全体としての圧密速度を上下排水により近似する方法ですので、層別には近似されません。マクロエレメント法は、バロンの近似式と等価な圧密速度を要素ごとに計算しますので、ドレーン全体の圧密速度が近似され、放射状の間隙水の流れが疑似的に考慮されます。

バロンの近似式とDifの比較

下図の時間係数~圧密度関係図は、バロンの近似式とDifの圧密速度を比較したグラフです。バロンの近似式は、粘性土上下面の排水は考慮されませんが、Difは粘性土上下面の排水を考慮した計算を行うことができます。

時間係数~圧密度関係図

図- 時間係数~圧密度関係図

水平変位深度分布図の例

下図は、盛土法尻位置の水平変位深度分布図の例です。従来法は、バロンのt50とテルツァギーのt50が一致するように透水係数を換算した計算です。従来法は、粘性土上下面の排水で圧密速度を近似していますので、粘性土上下面付近の圧密は速く、中央部の圧密速度が遅れます。このため最も水平変位が大きくなる粘性土中央位置の強度増加が遅れます。マクロエレメント法は、層全体で圧密がほぼ均一に進行しますので、従来法と比較すると粘性土中央部分の圧密速度は速くなります。盛土載荷期間中にも圧密が進行しますので、強度増加が大きい状態で載荷されるのか?小さい状態で載荷されるのか?により、水平変位の絶対量が変わります。

盛土法尻位置の水平変位深度分布図

図- 盛土法尻位置の水平変位深度分布図