Difの間隙水圧を使用したせん断強度低減法

概要

Dif により得られた圧密過程の間隙水圧を用いることにより、強度増加を考慮したせん断強度低減法による解析を行えるようになりました。 Dif で得られた計算結果DBNファイルからDif-SSR-FEMで使用する間隙水圧ファイルを出力するプログラムを用意しましたので、 容易に強度増加を考慮した解析を行えます。

強度増加を考慮した解析例

粘性土地盤に高さ5mの盛土を5cm/dayで載荷し、放置した際の安全率をDif-SSR-FEMにより解析しました。下図に示すように盛土完了時の安全率は1.12、圧密完了時の安全率は1.76となっており、圧密の進行に伴い安全率は増加します。最大せん断ひずみの分布は、全期間において大きくは変りませんが、盛土完了時のすべりの範囲はやや広くなっています。

安全率時系列図(圧密過程)

図- 安全率時系列図(圧密過程)

最大せん断ひずみコンタ図(崩壊直前の増分)(盛土完了時)

図- 最大せん断ひずみコンタ図(崩壊直前の増分)(盛土完了時)

最大せん断ひずみコンタ図(崩壊直前の増分)(盛土完了5年後)

図- 最大せん断ひずみコンタ図(崩壊直前の増分)(盛土完了5年後)

盛土速度の違いによる解析例

盛土速度の違いによる安全率をDif-SSR-FEMにより解析しました。盛土速度が速くなるに従い安全率は低下します。この計算例では盛土速度が20(cm/day)で安全率1.0であり、これ以上盛土速度が速くなると安全率は1.0を下回ります。

安全率時系列図(盛土速度の違い)

図- 安全率時系列図(盛土速度の違い)

レンズ状の砂層がある解析例

すべりの代表的な解析例として粘性土地盤中にレンズ状の砂層があるケースの解析を実施しました。 「強度増加を考慮した解析例」にレンズ状の砂層を追加しました。 砂層は難透水層に覆われており即座には排水できず、盛土から離れた位置に過剰間隙水圧が流れ、この付近の有効応力が低下します。 このため砂層付近のすべりによる安全率が低下します。 レンズ状の砂層がない場合の盛土完了時の安全率は1.12でしたが、レンズ状の砂層があるケースでは安全率は0.99となり、すべりが発生します。

安全率時系列図(レンズ状の砂層があるケース)

図- 安全率時系列図(レンズ状の砂層があるケース)

安全率時系列図(比較)

図- 安全率時系列図(比較))

最大せん断ひずみの分図は、盛土直後は砂層付近をすべるすべり線が想定されます。 圧密が進行するに従い、すべり線は徐々に砂層の上側に移り変わっています。

最大せん断ひずみコンタ図(崩壊直前の増分)(盛土完了時))

図- 最大せん断ひずみコンタ図(崩壊直前の増分)(盛土完了時))

最大せん断ひずみコンタ図(崩壊直前の増分)(盛土完了1年後))

図- 最大せん断ひずみコンタ図(崩壊直前の増分)(盛土完了1年後))

最大せん断ひずみコンタ図(崩壊直前の増分)(盛土完了5年後))

図- 最大せん断ひずみコンタ図(崩壊直前の増分)(盛土完了5年後))