Dif version 9.0 バージョンアップ
概要
Dif version 8.1から9.0へバージョンアップをしました。主な改良内容を以下に示します。
- ECモデルの追加
- 間隙水圧を考慮したせん断強度低減法
- Difの間隙水圧を使用したせん断強度低減法
- ジョイント要素に引張強度追加
ECモデルの追加
大野らによって開発されたECモデルをDifに組み込みました。関口・太田モデルを拡張した力学モデルで、 関口・太田モデルからパラメーターが1つ追加されました。 三軸Cuバー試験から得られた応力経路と応力ひずみ関係をより再現しやすくなっています。 三軸Cuバー試験をより有効利用できると考えられます。
間隙水圧を考慮したせん断強度低減法
Dif SSR-FEMに間隙水圧を考慮する機能をサポートしました。これ以外にも軽微な改良を行っており、Dif SSR-FEMはバージョン2.0となりました。 堤防の浸透流解析により得られた浸潤線を使用して剛塑性法に基づく円弧すべり計算を行うことがよくあります。 このようなすべり計算をSSR-FEMでは詳細に行うことができます。浸透流解析で得られた間隙水圧をそのまま使用することから、より詳細な解析を行うことができます。
Difの間隙水圧を使用したせん断強度低減法
Difの間隙水圧を使用することにより、圧密過程の強度増加を見込んだSSR-FEMによる解析を行えるようにしました。 Difで得られた間隙水圧をDif-SSR-FEMに取り込めることから強度増加を考慮した解析を容易に行うことができます。 盛土速度の検討や強度増加を見込んだより詳細な安定解析の検討を行うことができます。
ジョイント要素に引張強度追加
ジョイント要素に引張強度を追加しました。この追加により以下のような計算が行えるようになりました。
- 線形ジョイント
- 降伏時にせん断剛性のみなくす
- 従来法
従来法は引張が発生すると剥離した状態となり、剥離した状態では物性パラメーターを調整した同定が行えませんでした。 引張強度を導入したことにより、降伏を考慮しない線形ジョイント的な扱いができるようになりました。線形ジョイントは ジョイント面に沿うせん断剛性(Ks)とジョイント面直角方向の剛性(Kn)のみで制御できるため 比較的観測結果の同定が行いやすい場合があります。 降伏時にせん断剛性のみなくす方法は、圧着した状態でジョイント要素部のずれのみが考慮されます。 降伏応力に達した後は急激にずれが生じる結果となります。